10日開催の宮沢賢治生誕120年プレコンサート「下野戸亜弓 うたい語りの世界」無事終了致しました。お忙しい中、ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございました。


「雨ニモマケズ」はテキストを、声楽家のゲスト田中誠先生、若手の猿谷友規さん、南雲佑之介との4人で分けて順番に語りつぎ、または一緒に語ったりの群読形式。
それぞれの語りが一つに流れていくような間で朗読をしてもらい、会場全体を舞台として、冒頭舞台上に私と田中誠先生のみ、 会場奥より猿谷氏と南雲氏の2人が通路より語りながら歩いて登場し、最後に舞台にそろうという演出。男声の重低音がサラウンドで会場を満たし、やがて舞台上で一つになるという方法は大成功だったようです。
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そしてフォーメーションを変えて、「牧歌」。
深く、そして柔らかく、厚みのある男声の歌声で「牧歌」を歌ったらきっと賢治の世界が見えてくると思っていましたが、本当にその通りで素敵でした!!たったの3音しか使っていないこの歌は、声明のようでもあり、民謡のようでもあり、敬虔に、重厚に歌ってほしいと編曲者で賢治の研究者である中村節也先生からのアドバイスでした。とかく自分を主張しがちになる独唱部ですが、この曲では、個性も生かしつつ、ただし特出しすぎず3人の素朴なハーモニーと微妙な兼ね合いというお願いをしました。低音の17弦と箏伴奏にアレンジし、一部箏カデンツをいれてみましたが、これはこれで洋楽にはない味わいかと思います。賢治=チェロ→洋楽というようなイメージでつながると思いがちかもしれませんが、作曲した作品などをみてみるとそのベースには東北の民謡であったり、日本の伝統芸能が脈々とながれていることに気がつきます。
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「星めぐりの歌」は田中誠先生の歌で、かわいらしい曲ながら、広く大きな夜空の星を望むようなダイナミックさも感じる素晴らしい歌声でした。

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「ざしき童子のはなし」は何度きいても好き!といってくださる方がいます。
この日はどこかの席で座敷童子が一緒に会場に座ってきいているような、そんな気がしました。
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休憩後は新作「水仙月の四日」の初演でした。
短い期間の創作でしたが、意外に取りかかり始めたら、自然と調弦も曲想もうまれて、そこに須藤幸子さんの十七弦が加わって、より一層素敵なメロデイーがうまれました。
今回は語るだけにしようかと思いましたが、やはり語りと音楽が微妙なまでつながっていくところが外せなくて、そのかわり、自分がぬけても言葉とその音は遠近法のように音を続いていくという効果が得られたことは演出的にもよかったのかなと思います。冒頭で歌う子供の「カリメラの歌」が何度もリフレインしてこの作品のテーマ曲にもなっています。
みなさまに高評をいただきましたので、近々アップしたいと思います。お楽しみに!!
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今回の演奏会は東日本大震災復興支援チャリテイー・プロジェクトAの立ち上げから準備期間は短かったのですが、出演者、そして裏を支えて下ったスタッフのみなさま本当にありがとうございました。特に照明のサポートをしてくださった清水さん、大変な大役お疲れさまでした。

当日受付のチャリテイー募金合計38,965円、主催企画からの募金を加え、50,000円を日本赤十字社を通じて東日本大震災復興支援の義援金として寄付致しましたことをご報告申し上げます。
賛同しご協力いただきましたみなさまに心より感謝申し上げます。



左から南雲さん、田中先生、須藤さん、猿谷さん、菅生さん
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来年は賢治をたっぷりとお楽しみいただく企画を計画しています。
6年ぶりの「邦楽・夢コンサート」も開催しますので、どうぞお楽しみに!!