今年も雛の節句を迎えました
今年は雪に振り回されて、お雛さまをお出しするのをうっかり忘れてしまいそうでしたが、我が家もお雛さまを出して、お祝いです。

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 3月31日公演の「邦楽と語りの世界〜泉鏡花をきく〜」も日々近づいてまいりました。
この演奏会、もっとも聴いていただきたいのが、この泉鏡花原作の語り音楽『雛がたり』です

『雛がたり』は泉鏡花作品のなかでも小品の一つで、金沢に生まれた鏡花が幼い頃にみた雛の記憶をたどりつつ、過去と現実が交差する鏡花ならではの幻想的な耽美な随筆です

そもそもこの作品との出会いは、5年ほど前ー
芸大の同級生で、囃子方演奏家の堅田喜三代さん主宰する「綾色箱」の演奏会で、同じメンバーで初演しました。
喜三代さんは現在新派の邦楽を一手に担い、その他多くの舞台公演で邦楽を担当しています。
語り(朗読)に箏・太棹・小鼓・笛の音楽を絡ませて、泉鏡花の文学世界をより奥行きある、語り音楽作品に仕上げています。こうした構成は、さすが喜三代さんならではと思います

これまで、邦楽の声楽面の可能性や、言葉や歌、声に重点をおいて活動をしてきて、その中で<語り>は私にとって本来の自分に近づける、これこそ本当にやりたかった世界のような気がしてならないのです。それは歌にも似た声の芸術。文学の奥深さ、知れば知るほど、その語りは変わってくるものです

<語り>に焦点をあてたコンサートシリーズの企画を新たに検討していたこともあり、この『雛がたり』をぜひ旧暦の節句の時期に合わせてお楽しみいただきたいとの熱い思いが募り、このたびの「邦楽と語りの世界〜泉鏡花をきく〜」開催の運びとなりました

平日の昼のみの公演です。
皆様のお越しをお待ちしております

下野戸亜弓 紀尾井ホールコンサートチラシ